冠婚葬祭やきょうだいの行事があるとき、障がいのある子どもを預ける場所はどうしていますか?
子どもの医療的ケアや介助があると、対応できない家族にお願いすることも難しいし、どうしよう…
と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこで知ってもらいたいのが、医療型短期入所です。今回は、医療型短期入所の対象者や施設の種類、探し方や選ぶポイントなどを紹介します。
医療型の短期入所(ショートステイ)とは?
医療型短期入所とは、冠婚葬祭やきょうだいの行事といった家庭の事情、親や介護者のレスパイトなど、一時的に障がい児・者が施設へ外泊する形で生活することができる事業のことです。別名「医療型ショートステイ」「レスパイト入院」とも呼ばれます。
短期入所施設の中でも医療型は、遷延性意識障害児・者や重症心身障害児・者、医療的ケアが必要な障がい児・者を対象としています。
近年では、日中活動が促進されるような報酬加算が設定されたこともあり、医療型短期入所を利用している障がいのある子どもや成人に対して、発達や成長を促す専門職による支援を行う施設も増えています。
【参照】令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容(案)P11|厚生労働省
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000733747.pdf
医療型の短期入所の対象者
医療型短期入所の対象者は、市町村等から障害福祉サービス受給者証が交付され、「短期入所」の支給決定を受けており、在宅で医療的ケアを行っている人が対象です。
具体的には、以下のような人です。
- 気管切開を伴う人工呼吸器をつけている人
- 進行性筋萎縮症の人
- 重症心身障害児・者
なお、こちらは医療型の短期入所施設を利用する際の条件ですので、自治体へ短期入所の申請手続きをする際には、特に気にしなくて問題ありません。
医療型の短期入所ができる施設の種類
様々な施設で子どもの医療型の短期入所を受け入れています。地域によってある施設、ない施設もあります。
※ 現在は編集部で確認できている施設をご紹介しています。こちらで紹介した施設以外にも短期入所できる施設がある場合もあります。
病院(空床利用型)
病院の空いている入所・入院用ベッドを使って子どもだけを入院させるタイプの短期入所です。
病院の混み具合によって、短期入所ができるかできないかが変わってきます。
筆者が利用している短期入所の病院は、1ヶ月前までに希望入院日を提出する必要があり、利用できるかどうかの結果は、希望日の1週間前までに通知が届く仕組みです。
例えば月に5回、1回4泊5日までなど、同一月内に利用できる日数が決まっています。持ち物は、洋服やおむつなど日常的に使用するものに加え、人工呼吸器用の加湿器や普段注入している栄養剤、薬など、医療的ケアに必要なものも持参します。
入院中の過ごし方は普通の病院の入院と変わりません。担当医と担当看護師がつき、医療的ケアをしながら見守ってくれます。
保育士が在籍している病院もあり、その場合にはレクリエーションの時間をとってくれることもあります。また理学療法士が在籍している病院では、リハビリをしてくれることもあります。ただし、あくまで「病院」なので、レクリエーションやリハビリの時間はそれほど多くはないようです。
筆者は病院のレスパイト入院を利用しており、医療的ケアの多い息子にとっては、病院なので安心して預けられています。ただし、あくまで「病院」なので、看護師が声をかけてくれるものの息子にとってはあまり楽しい場所ではないのかな?という印象です。
▼医療型・空床利用型の短期入所についてはこちらの記事に詳しく書いています。
療育センター
療育センターでも短期入所の受け入れをしている施設があります。子どもが普段から通所やリハビリで通っている施設の場合、いつも関わっている支援者も施設にいるため、子どもが抵抗感なく安心して過ごしやすいのが特徴です。設備によって医療型の場合と福祉型の場合があります。
ファミケア編集部メンバーの家族が利用している療育センターでは、空床利用型ではなく、毎月利用希望者を募り、相談課の方がスケジュールを調整して日程が取れれば、利用ができます。
病棟は2箇所あり、1箇所は基本的な活動はありませんが、週に何時間か保育の時間が確保されています。もう1箇所は生活の支援が充実しており、レクリエーションなどの生活プログラムが豊富です。生活プログラムが充実している方の病棟を利用するには、まず前者の一般的な短期入所が必要なことが多くなっています。
利用希望日が属する月の2ヵ月前までに希望を申請し、結果の通知が1ヵ月前頃に届きます。利用には療育センターでの診察が必要です。
療育センターだけあって、障がいのある方が使いやすい設備やプログラムが整っていて安心です。
医療型短期入所の専門施設
入所・入院用のベッドのうち、短期入所用のベッドを常時確保し、子どもを入院させるタイプの短期入所です。常にレスパイト用のベッドが用意されているので、予約で埋まらない限り入院利用することができます。
配置される職員には看護師や医師の他、保育士もいるので入院中レクリエーションのような日中の活動の時間もあります。施設によってはプレイルームがあり、季節の行事や遊びを子どもみんなでやることもあるそうです。
持ち物は、洋服やオムツ、おもちゃなどの生活用品に加え、サチュレーションモニターや人工呼吸器、カニューレやYガーゼなどの医療的ケアに必要なものも含みます。
筆者の息子はまだお試しの1泊2日の外泊のみの段階ですが、プレイルームがあり、レクリエーションの日が設けられており、保育士も多数配置されているため、子どもにとっては楽しく過ごせる場所なのかなという印象です。
医療型の短期入所施設の探し方
医療型短期入所施設の探し方を紹介します。
探し方1:市区町村の担当課に相談する
市区町村の担当課に相談してみると、医療型短期入所施設の一覧表をもらえる場合があります。
担当課がわからない場合、障がいや保健などを担当する課に問い合わせしてみましょう。
筆者がもらった一覧には、それぞれの特徴やどんな施設なのかなどの情報は載っていなかったので、自分で調べたり医療関係者に聞いたりしました。
探し方2:医療関係者に相談する
訪問医や訪問看護師など、住んでいる地域に詳しい医療関係者に相談してみるのも1つの手です。他の利用者が医療型短期入所施設を利用していて、情報を持っている場合があります。
筆者は病院の短期入所施設を訪問医から教えてもらいました。区の支援課でもらった一覧には載っていなかった病院だったので、大変助かりました。
探し方3:地域の先輩ママパパから情報を得る
障がい児や疾患児の子育てでは同じ地域に住む先輩ママパパの情報が頼りになることも多いですが、医療型短期入所施設についても知っている場合があります。実際に利用した経験がある人もいると思うので、生の声が聞けてよい情報を得ることができます。
医療型の短期入所施設の選び方
医療型短期入所施設の選び方のポイントを紹介します。
選ぶポイント1:予約がとりやすい施設を選ぶ
施設によって予約のとりやすさは違います。これは実際に利用してみないとわからないことですが、数ヶ月前から希望日を出しても利用できない施設もあれば、1ヶ月前に希望を出せば利用できる施設もあります。
「この日は絶対に子どもを預けないといけない」という日がある場合は、予約がとりやすい施設を選びましょう。
選ぶポイント2:子どもが楽しく過ごせる施設を選ぶ
前述しましたが、病院の医療型短期施設は空床を利用したもので、あくまで病院であるため、レクリエーションや保育の時間が少ないです。
それに比べ、医療型短期入所の専門施設は保育士も多く在籍しており、プレイルームもあるのでレクリエーションの活動がある場合が多いです。
ただその分、医療型短期入所の専門施設は人気のため予約が取りづらい場合があります。
家庭の事情やレスパイトには医療型短期入所施設を利用しよう
冠婚葬祭やきょうだいの行事、親や介護者のレスパイトなどの時に一時的に子どもを預けることができる医療型短期入所施設。医療型のため、遷延性意識障害児・者や重症心身障害児・者を対象としています。
施設の種類は大きく分けて3つ。病院と、療育センター、専門施設です。それぞれ特徴が違うので、子どもとの相性や家庭の都合に合った施設を利用しましょう。
医療型短期入所施設を探す方法は主に3つ。なかなか見つからない場合もあるとは思いますが、上述した他にも相談支援専門員に聞くなど、まわりの人に助けを求めながら探すとよいと思います。
何を良しとするかは人それぞれですが、安心して医療型短期入所施設を利用できることを願っています。
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