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ヨーゼフの海外障がい児子育て奮闘記#2「日本とアメリカの小児リハビリ、同じことと違うこと」

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こんにちは、ヨーゼフです。この連載「ヨーゼフの海外障がい児子育て奮闘記」では、私が海外で障がいのある子どもを育てた経験から日本と海外の環境の違いや実際に体験してみて感じた事、おどろいた事などをご紹介しています

日本と違う発見やさまざまなカタチの子育てをみなさんにお届けできたら嬉しいです。

今回は「アメリカの小児リハビリ事情について#1」。第一弾では、「日本とアメリカの小児リハビリで同じ事・違う事」をテーマにご紹介します。

前回の記事:ヨーゼフの海外障がい児子育て奮闘記#1「アメリカで障がいのある子の出産・育児スタート」

目次

日本とアメリカの小児リハビリで同じこと

国が違ってもリハビリに関して、同じこともあります。

1.OT(作業療法)とPT(理学療法)の目的

アメリカでも、日本と同じように子どもの訓練としてPT(理学療法)OT(作業療法)をします。

たとえば、PTでは身体全体を使ったリハビリが中心です。座る・立つ・歩くなどの訓練を行ったり、歩行器やトランポリン・バランスボールなどを使って運動をしたりします。また、OTでは手先を使うような細かな作業の訓練を行うのが中心で、鉛筆やハサミ、箸などを使う練習やシール貼り、パズルなどを使用した訓練を行います。

書き手ヨーゼフ

あえて違う部分を考えてみると、日本では、訪問のPTの訓練を室内で行うことが多いですが、アメリカでは必要であれば屋外で訓練を行うことも多いです!

私は渡米する前、訪問リハビリ関連の事業を運営する会社に勤めていたのですが、実際に自分の子どもがアメリカでリハビリを受けた時に「日本と同じなんだなぁ」と思った事を覚えています。

アメリカでのOTの様子
OTの訪問リハビリを受ける息子。OTはブロンズヘアの似合うベテランでした(若く見えて実はおばあちゃん…!)/ 筆者撮影

日本とアメリカの小児リハビリで違うこと

1.日数

私が日本とアメリカのリハビリで一番の大きな違いだと感じたのは、リハビリの日数です。

アメリカに住んでいた時、OTは週2回程度、PTは週3回程度でした。本帰国が決まり、日本のリハビリ施設や引っ越し先の市町村の福祉担当に問い合わせた際「PTは多くて月に1回から2回かと…」と言われた時には衝撃を受けました。

最終的にPTのリハビリは週1回行えることになりましたが、正直「それでも足りるのか…」と、当時はとても心配になりました。

書き手ヨーゼフ

現在は保育園に通っていることもあり、結果的に週1回という回数は今の息子にとっては合っていると感じています。

2.費用

私が日数の次に驚いたのが、リハビリの費用の違いです。

アメリカに住んでいた時、日本でのリハビリの費用を聞いた時には「何かの間違いなのでは…」と耳を疑いました。

息子のOTの訪問リハビリは、1回あたり約130ドル(現時点のレートだと日本円で2万円弱)でした。日本でリハビリを受けた経験のある方がこの費用を聞くと、きっと当時の私と同じ反応をされるのではないでしょうか(笑)。

保険を通す(※1)ので、100%自己負担ではありませんでしたが、それでも1万円程度はかかり、それなりの負担にはなりました

書き手ヨーゼフ

それでも確実に言えることは、セラピストはその費用に見合ったリハビリをしてくれていたということです

「アメリカは医療費が高い」というのを耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。逆に言えば、高い分だけ選択肢や余裕があります

日本の医療費・リハビリの費用はとても安価で助けられている部分もありますが、そこにデメリットがあるのも事実だということを考えさせられます。

【参考】アメリカの保険について

日本はどの保険にも加入していない人は必ず国民健康保険に加入する必要がありますが、アメリカはそういう制度がなく、病院に行ったら100%自己負担という人も少なくないのです(なので病気になってもドラックストアで売ってる薬で何とか治そうとするのが割とアメリカでは一般的です)。

3.「小児PT」「小児OT」というジャンルが確立されている

日本の訪問リハビリで小児を専門としている施設がどれだけあるでしょうか。高齢者などの小児以外も診ている施設が大多数だと思います。

アメリカで子どものリハビリ施設を探している時、小児以外も対象としている施設を見たことがありません。そして、息子の理学療法士と作業療法士もまた、小児リハビリのスペシャリストでした。

日本にも小児専門のセラピストがもっと必要だと感じる一方で、アメリカは小児専門でも十分にやっていける環境であることに、改めて国の違いを感じました。

4.アメリカのSTはSLPとAudiologistに分かれる

日本でSTと呼ばれる言語聴覚士の役割は、アメリカではSLPAudiologistに分かれます。SLP(言語病理学者)は主に言語療法や嚥下療法などを担い、Audiologist(聴覚士)はその名の通り聴覚・難聴の専門家です。

息子の場合、嚥下と聴こえの両方に問題があったため、嚥下に関してはSLP、補聴器に関してはAudiologistにお世話になっていましたが、難聴に関してはAudiologistから「うちでは診れない」と断られてしまいました。この詳しい話については、次回「アメリカの小児リハビリ事情について#2」でお話したいと思います。

「違うことがある=どちらが良い・悪い」ではない

日本とアメリカ、両方のリハビリを経験して感じたこと。良いこと、悪いこと、同じこと、違うこと。それぞれありますが、私が感じているのは「どちらが良い(悪い)というのはない」ということです。何より、セラピストが子どもたちの成長を願って一生懸命対応してくださるのは、どの国でも変わりません。

私が感じたそれぞれのリハビリの経験談をお伝えすることによって、国を超えた先で行われているリハビリを知っていただき、日々の障がい児育児の中で感じるものが生まれたら、とても嬉しいです。

「アメリカの小児リハビリ事情について」はこのコラムを含めて、3回にわたってお届けしていきます。

次回は「STで断られる!?息子に訪れた言語の壁」です。

「言語聴覚に関するリハビリを断られた経緯」や、「その後アメリカで難聴に関するリハビリをどのように進めていったのか」をご紹介していきます。ぜひお楽しみいただけたら幸いです。


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この記事を書いた人

2014年生まれの女の子と2019年生まれの重複障害(下肢3級,聴覚6級)の男の子のママです。アメリカで妊娠・出産と障がい児育児を経験。お仕事はフリーランスのWebデザイナー。

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